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執筆者の写真Naoko Okuda

フランスのコロナ・ウィルス対策新たな局面へ

更新日:2020年3月6日

2月26日、リスク地域への渡航歴もない60歳の中学校教諭男性のサルペトリエール病院での死亡(2例目。1例目は中国人高齢旅行者)により、フランスのCOVIDー19対策は、新たな局面に突入した。

お隣のイタリアで土曜日に79名(死亡2名)だった患者が週明けになると284名(11名死亡)、27日現在528例(死亡14名)となっている。因みに、イタリアは武漢からのチャーター便での帰国者を隔離せずそのまま帰宅させ、その一方で、早くから中国との渡航・入国を閉鎖する水際作戦、現在は11の町をほぼ戒厳令かのように封鎖と極端から極端へのアンバランスな施策が指摘されている。


2月の休暇中に、リスク地域(中国・イタリア・シンガポール・韓国)渡航歴の在る児童は、2週間登校禁止。登校禁止の対象となった子供が家にいる親は、地方保険庁に申請し、職場を病児欠勤扱いが認められる。(社会保険による休業補償有り。)

イタリア国境付近のニース、マントンでは恒例のカーニヴァルも最終日を中止。なのにリヨン対トリノのサッカー戦は中止されずに開催、3000人以上のサポーターがイタリアからリヨンのスタジアムに。今迄ほぼ完璧な対応をしていた政府もこっぴどく、医療者から怒られてました。😓 (因みにクリスチアーノ・ロナウドのいるジュヴェントス・トリノに、オランピック・リヨネが勝った‼️)


世界の工場である中国の生産活動がストップして、欧州の株価は全般的に大きく下がり、部品不足の為、フランス国内の製造業にも大きく響き始めた。ジェネリックに限らず世界中の薬品の主要成分の8割は中国で生産されている。中国以外にも製造ラインを、と言われるが、今すぐにとはいかない。国がリスク国に指定していない日本の渡航・入国も、企業によっては自粛するように勧め始めている。(銀行、製造業など)観光業の不振は言うまでもない。


野党は、ここぞとばかりに右派は国境閉めろ・入国管理を厳しくしろ、左派は国内の工場を閉めて中国に移したから、と政治利用する発言はあったものの、本日の与野党緊急対策会議の後は、政府の対応を褒めはしないまでも批判する事を一旦、封印。何でもかんでも反対のメランション(黄色いベスト支持)まで「フランス医療を信頼しよう」と。


あの完璧なマダム、アニエス・ビュザン(血液内科教授)の後に就任したばかりのオリビエ・ヴェラン保健大臣(神経内科)が決して前任者に劣らぬ切れ者である事を示した。マスコミのどうして国境閉めない⁈の質問への回答はお見事でした。毎日、会見しているが、神経内科だからかサイエンティフィックで歯切れが良く、「パンデミアに備えて医療従事者を守る為に、一般の国民はマスク買い占めないように。咳エチケット、手を洗いましょう。あちこち触らないように。」と訴える。


イタリアとフランスの対応に大きな違いがある事からもわかるように、今回の対応は、各国政府主導に展開され、EU内にある欧州CDC(ECDC)のリーダーシップ不在が露呈された。昨日のローマでの近隣国保健大臣の会議、今日の伊仏首脳会談もイタリアの要請で開催されたとの事。二人の政府要人が立て続けにイタリアを訪問する事により、フランスは国境を閉めない、と強いメッセージを送った。


さて、ローマでの会談出発前に、今朝サルペトリエール病院を訪問したマクロン大統領。飛んで火に入る夏の虫とは、この事で、慢性的な人・金不足と病床削減、医療従事者の疲弊による病院崩壊寸前には、ショック療法による蘇生(=大きな予算の投入)が緊急に必要と、今までの医療政策を医師団の一人から激しく指摘されタジタジに。(これが編集なしの生放送でニュースに流れるのもフランスらしかった。)


3月4日フランスのCOVID-19陽性者が250名超え、マスクや消毒用アルコールの価格の便乗高騰が市場に起こっています。


ブルノー•ルメール経済・財務大臣は、

省令で、消毒用アルコールの公定価格化と、5/31まで医療用マスクの徴収、非医療者に売るつもりの製造者・流通者・販売者から医療者および陽性患者に回す事を発表しました。

徴収とか価格公定化とか、公権行使ハンパなく、本日付の官報で発布されました。(決定から僅か数時間後!早い‼︎)


一方、マクドナルドのドライブスルーのような検査所がヨーロッパで出来ました。最初の入り口でもらった検査キットで説明書に従い患者は車内で粘膜を採取し次の出口で渡します。陽性者を検査の為に医療機関に行かせずに見つける事が目的ですが、(クラスターでトライアルの後)フランスはこの方法は採用せず、全ての患者が潜在的陽性と仮定し、治療に当たる方針に変更しつつあります。


今まで全ての陽性者を隔離入院、陽性者と濃厚接触者は自宅隔離としていましたが、こちらも方針変更。

陽性者の内、軽症・無症状者(実に全体の8割)は入院せず自宅隔離になりました。


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