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執筆者の写真Naoko Okuda

在宅入院 フランス コロナ禍での活躍

フランスには、「在宅入院」と言う制度が有ります。


これは、その他に色々ある「在宅医療系サービス」の中でも、ごく一部の患者が対象となり、日本の訪問診療と比べてもより限定的な範囲になります。


周産期から終末期までを対象とし、まさに「ゆりかごから墓場まで」ではありますが、その中で「(院内使用の)薬剤や高度の技術や医療機器を要する」「多職種・多数の医療従事者による頻回の処置・介入を要する」フェーズにある患者さんが審査を経て在宅入院へ導入となります。また、入院であるからには、「退院」があることが前提となっています。(但し、更新可能) 例えば、在宅での定期的腹膜透析をされている患者さんは、(それ以外の介入が必要ないのであれば)在宅入院ではありません。


在宅入院と和訳した為に、「在宅」なのか「入院」なのか?どっちなのか?

とよくご質問をよく受けますが、在宅入院中の患者宅のベッドを、国の病床数、より正確には「病所数」として統計にカウントします。国の病床数管理政策上、箱物の病院と比べて、比較的容易に病床や人員の増減がしやすいメリットがここにあります。


診療報酬は、包括(丸め)です。


日本の在宅医療が、訪問診療医が医学的キーパーソンとなるのに比べ、フランスの在宅入院では、医学的キーパーソンは、あくまでも患者の普段のかかりつけ医で、そこに、退院して出て来る前の病院での主治医と、在宅入院組織のコーディネート・ドクターが入る形となります。


日本で言うところの退院支援室のような所から連携して「在宅」に転院して来た患者さんを中心にして、各者が受け入れを調整して在宅入院がスタートします。



さて、この在宅入院が、今回のコロナ禍のフランスで大活躍をしました。


従来の対象患者に加えて、コロナの医療需要にまさに在宅での入院がぴったりと合致した訳です。特に、2020年の第一波では、パリを中心に各地で病床オーバー・シュートとなった際、普段は受け入れていないタイプの対応を余儀なくされました。


まず、既に在宅入院中の患者がコロナ陽性となった場合、コロナ病床へ入院させるのではなく、在宅での治療継続。

次に、オーバー・シュートで入院できない患者で中軽症の患者は、在宅での酸素治療へ。

また、病院外来の点滴ルームは閉鎖となり、化学療法を受けていた患者は、在宅ケモへ。

高齢者介護施設でのコロナ患者の施設内での治療継続を支援。(施設=居宅)

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